DATA

CREDIT

  • 撮影
    後藤健治 / しんめんもく
  • 設計
    YIAイシウエヨシヒロ建築設計事務所
  • 担当者
    イシウエヨシヒロ
  • 施工
    株式会社建相 / 横山宣宏
  • 構造設計
    株式会社片岡構造 / 片岡慎策
  • 施主
    高須賀想苑

新しいセレモニーホールを計画するにあたり、クライアントからは新しい葬儀空間を運営の面からも関わって欲しいと打診がありました。決して大きなホールではないのですが、プランを作る前にかなりの時間を掛けて打ち合わせを行なっていきました。まず、家族葬という限定された関係者が集う場所に、作為的な演出を前提にした白いホワイトボックス型のホールに違和感を感じて、過剰な演出の要らない空間にしたいと思いました。そこで、他に例を見つけることはできなかったのですが自然に囲まれ繋がったホールを提案しました。ただただ故人と向き合う間には他者が作る演出などは必要なく、風に揺れる草木や太陽の光、雪、雨、曇り、四季の変化など、私たちの想いには無慈悲な移ろいが神々しく間を埋めてくれるのではないかと結論しました。雨の葬儀の時に、途中から太陽の光が天窓から落ちてくる情景に出会えたりすることは、強く記憶に残るシーンになると考えています。そして、ホール空間に必要となる緑豊かな庭は、敢えて壁などで囲まず外部・近隣に開放することにしました。建物の前面道路には、幅の広い歩道があり、多くの近隣住人がジョギングやウォーキングなどをしているのを確認していたので、ベンチを設けて休憩の場として緑を共有してもらいたいと思っています。大きく葬式の形式が変わろうとしている中で、新しいカタチを提案できればと思います。 平面構成としては、エントランス棟、ホール棟、サービス棟の三つに分かれています。ホールはコンセプトに沿うように庭に対して開放された空間となっており、自然と一体的な空間となっています。サービス棟は喪主関係者の方々が、ゆったりと葬儀までの時間を過ごせる空間で過ごして欲しいので、外部から距離のある空間としています。そして各々の空間の特性に合わせて、屋根の形に変化をもたらせています。ホール棟では神々しくはあれど、宗教的求心性は強くない空間を目指していたので、大きな天窓が設けられていますが中心を外しています。天井の形がそのまま各々勾配の違う方形屋根となっています。またエントランスホールは、大きな庇に囲まれているため暗い空間にならないように、変形の寄棟屋根に天窓を設けて明るい空間としています。サービス棟は平面的には閉じた空間としていますが、待合時間などはできる限り気持ち良い空間で過ごして欲しいので、張り詰めた質量を下げるために切妻屋根の形体がそのまま室内空間となって、連続したボリュームのある空間となっています。また、サービス棟は近隣住居が近いので、壁に設ける窓には視界を求めず、切妻屋根の東側にリズミカルに天窓を設けて空が見える明るい空間としています。一番奥に関係者控え室を設けており、静かな落ち着く環境を守るために物理的にも距離を取れる一文字型の平面計画として、切妻屋根が適した形として採用しました。いろいろな形の屋根が寄り添う外観は、民家的なスケールで家族葬のホールには適していると感じています。また前庭の緑の上部奥に、アスファルトシングルのランダムな色のグラデーションと立体感のある陰影は、車からみても目に止まるようで前面道路を行き来する人たちの好奇心にアピールはできているようです。商業施設のため、どうしても認知してもらう必要があるのですが、派手に街並みに対比的なデザインではなく街に溶け込む中で目を惹くデザインができたことは嬉しく思っています。

物件所在地

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