上平良のスタジオ  

ビルディングタイプ
スタジオ
0
75

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 撮影
    藤井陽子
  • 設計
    o
  • 担当者
    岡西雄司
  • 施工
    an field

写真家のスタジオの改修計画である。 この建物は、もともと住宅として生活の場であり、数回のリノベーションを経て現在に至っている。その重なった時間や空間の履歴を断ち切るのではなく、それらをつなぐ形で、この場所のあり方を考えた。 本計画では、家族写真などの撮影を行うスタジオとしての機能に加え、写真家の活動を伝えるギャラリー、さらには写真にとらわれないワークショップや展示にも対応できる場を想定している。 それぞれの用途に特化しすぎないためには、ある種のプレーンさが必要だと考えた。 そこで、依頼主の作風や人柄、既存の開口部から差し込む印象的な景色と光の温かさを手がかりに、汎用的でありながらも固有の表情を持つ空間を目指した。 東側にあった既存の出窓と、解体によって現れた過去のリノベーションにより隠されていた床の間は、壁を切り取ることでスタジオの中に取り込み、空間のアイコンとして再構成している。 時間や季節によって光の表情が変化する出窓と、外部環境に左右されない床の間を展示のための場として設えることで、変化と安定という対照的な要素を共存させた。 訪れる人にとっての体験の変化と、日常的に長い時間を過ごし、さまざまなシーンに向き合う写真家にとっての安定。その両方を内包することで、使われ方の幅に対する安定感と、プレーンな空間の中に生まれる微細な変化をつくり出している。 それらのわずかな差異が、クリエイティブな生業に携わるユーザーにとって、気づきや刺激のきっかけとなることを意図した。 空間全体は一見すると白く塗りつぶされたように見えるが、素材ごとに奥行きや陰影が感じられ、大きな開口から入る光によって表情が変化するよう計画している。 シンプルなホワイトキューブではなく、微妙な表情の差をもつことで、無機質になりすぎない、温かみのある空間を目指した。 シンプルであること、多様に使われることは、要素を削ぎ落としていく試みでもある。 その削がれた要素一つひとつの表情を丁寧に編集することで、シンプルさの中に奥行きと気配を宿すことを試みた。