




補足資料



商店街と市の中心を流れる有田川が交わる地点に位置する物件を、 「カフェ・バー」に改修する計画である。 本計画では、街の現状に対して「外」と「中」の関係を再考し、 もう一度人の為の居場所を街のなかに提供できないかと考えた。 前方に大きく開けた既存の開口部からは、足元に流れる有田川の向こうに、みかん畑の点在する山々が一望できる。この風景は街のシンボル的存在である。 しかし、前面道路には歩道がなく、車がせわしなく通り過ぎ、 落ち着いて風景を楽しむのが難しい距離感であった。 そこで既存のインテリアラインをオフセットし、 「内」としての半屋外空間を街に再配分することとした。 具体的には、道路面のガラスやシャッターを撤去し、内側に新たな境界線を設けることで、 元の外郭を保ちながら、街路を建物内部に引き込む形とした。 内外を分断する境界ではなく、壁や天井の仕上げを室内に連続させ、 道路から守られつつも、街と一体感を感じられる場とした。 そこにはベンチや、既存窓枠を利用したカウンター、テイクアウトの窓口等、 気軽に立ち寄れるような接点を持たせ、 人と風景、街とのコミュニケーションが生まれる場所とした。 街も人も常に変化し、流れ続けている。 現代ではその流れが一層速まり、情報が氾濫する中で、 街の早い流れを少し和らげ、店内に少し転流させたような計画である。

