




PROJECT MEMBER
これまでESR株式会社が開発する物流施設において、多くの休憩ラウンジや託児所の設計を手がけてきたが、同社のオフィス移転に伴い、新オフィスの設計を担当することとなった。 新オフィスは港区の大規模オフィスビルの最上階、約1,600㎡のフロアに位置し、約80席の執務デスクを配置する計画である。特徴的な「へ」の字形をしたフロア形状に沿うように、少しずつ形状の異なるアーチ状のフレームを連続させる構成とした。それにより、未来的かつ有機的で、非日常的な雰囲気を持つシームレスな動線体を形成し、その内部にソーシャルラウンジ、ギャラリー、会議室など、ゲストとのコミュニケーションの核となるスペースを内包させている。 ソーシャルラウンジでは、アーチを扇状に配置し、その収束先にある空中庭園へと自然に視線が導かれるよう設計している。エレベーターを降りると、空中庭園の緑を背景としたバーカウンターがゲストを迎える。この三次曲面を描く削り出しの木製カウンターでは、カフェメニューやアルコールを提供しており、ゲストをもてなすだけでなく、終業後の従業員同士のコミュニケーションの場ともなっている。 アーチの意匠は、社員専用のプライベートラウンジの間仕切り壁や、執務デスクのパーテーションにも踏襲されている。等価で均質になりがちな執務空間に、思わず顔を覗かせたくなるような多様なかたちが現れることで、インフォーマルで偶発的なコミュニケーションを誘発する仕掛けとなっている。 なお、ロングスパンが求められる倉庫建築において、古くから用いられてきたのがアーチ状の山形ラーメン構造である。フロアに展開されるアーチの数々は、インフラとしての「物流」——すなわち社会を支える構造としての物流倉庫を多数開発してきたESR社の姿勢を象徴している。そして、連続するアーチ形状が徐々に変化していくさまは、ESR社が社会にもたらす変化や成長そのものを表現している。

