手打ち蕎麦 たがた

ビルディングタイプ
レストラン
5
205
日本 静岡県

DATA

CREDIT

  • 撮影
    光田 揚子
  • 設計
    大橋 史人

静岡市は高低差のある山と海に挟まれた食材豊かな土地柄で、富士山系や南アルプス系の伏流水が豊富である。水が豊かな土地は蕎麦が美味しい、と経験則で感じている。 手打ち蕎麦たがたはその静岡市内にある蕎麦の名店である。 店主自ら探し出会った全国の希少な在来種の蕎麦を食べられる。 最高の蕎麦を提供するためにはぜひ体験していただきたいことがあり、新しい空間には蕎麦打ちパフォーマンスをするための舞台がつくりたい、と設計を始める段階で店主から提案があった。 これまで店主はこの土地の劇団と共に舞台に立ち蕎麦打ちをしたり、ミラノ万博で世界中の方々を魅了してきたという経験がある。こうして蕎麦打ち劇場をつくるという大きなテーマが与えられた。 蕎麦のおもしろさ、奥深さをとことん追求している蕎麦店だからこそ、空間のあり方は精査された素材を使い、空間を高めていく必要があった。 内装は海と大地、店主の藍の仕事着などから着想を得た。深い青と土を感じる色彩を基調として、和紙を使って空間をくるんでいった。 和紙の仕上げは整然としすぎない柔らかな表情を生み出し、手触りが心地よく、経年変化をしながら育っていくところに魅力を感じる。 蕎麦打ちパフォーマンスをする場所は L 字のカウンターの背後に客席空間の中心となる場所に鎮座し、客席をはさみ、厨房内と蕎麦打ち台が共に店主のステージとなるように設計した。 蕎麦打ち台は台の表面は研ぎ出し仕上げ、下面は土を亜麻仁油で擦り込み締め固めている。 勾玉のような形をした蕎麦打ち台は店主が窪みにはまり蕎麦を打ち始めるとまるで一体になったような躍動感を生み出す。 その天板を支える脚には稲藁の仕上げによる多面体が三体、がっしりと天板を支えている。 客席の椅子はオリジナルで製作し、劇場の空気感をそこなわないよう、鉄媒染により影の存在として仕上げられた。 自然素材を扱う職人の技が店主の打つ在来蕎麦の奥深さをさらに引き出してくれるだろう。

物件所在地

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