




PROJECT MEMBER
自分たちらしく、穏やかに暮らす家 「自分でいられる場所」「新しいことへのチャレンジ」 「自分たちが見てきた家の概念ではなく、自分たちの家をつくりたい」——。 初回の打合せから語られたこれらの言葉が、この住まいの原点だった。 クライアントが求めていたのは、家の形や間取りそのものではなく、 “どんな時間を過ごし、どんな空気が流れているか”という暮らしの質だった。 ゆっくりと時間が流れ、家族が自然と集まり、なんでも話せる雰囲気。 植物のある暮らしが子どもの成長にもつながるのでは——というやさしい視点。 そのような穏やかで柔らかな価値観が、住まいの核心となった。 敷地はゆとりがあり、南には石鎚山を望む風景が広がる。 一方で季節によっては強い吹きおろしがあり、開放性と防風性の両立が求められた。 その環境に対し、外壁を二重構成とし、 その「あいだ」に外と内をつなぐ“中間領域”を考えた。 この中間領域は、単なる緩衝帯ではなく、 光と風を取り込み、景色を受け止め、季節の移ろいを静かに伝える場所。 外部環境をやわらげつつ、自然との適切な距離感を保つ役割を果たす。 家族が外に開きながらも安心して暮らせる、柔らかな境界。 屋根は棟木やそれを支える柱を持たない特徴的な架構とし、 住まい全体に重く覆いかぶさらないよう軽やかな印象をつくり出した。 二重外壁の包容感と呼応しながら、おおらかで安心感のある佇まいが実現。 外部に面する天井や壁には仕上げ材を用いず、構造材を現しのままとし 素材の荒々しい表情が外部とのつながりを強め、 内部空間に自然な広がりと奥行きをもたらしてくれる。 日々の暮らしの中で、光や風、素材の手触りを感じながら過ごす時間。 家族が各々の場所で思い思いに過ごし、ふとした瞬間に会話が生まれる。 この家は、そんな“自分たちらしい穏やかな時間”を育むための、 おおらかでやさしい器としてここに完成した。

