Area 75 - Art & Auction

ビルディングタイプ
ギャラリー
3
102
ベトナム Hà Nội

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Hiroyuki Oki
  • 設計
    WORKLONGE 03-
  • 担当者
    竹森紘臣 / Nguyễn Ha Giang / Hoang Thi Ngọc Anh
  • 構造設計
    NEY Vietnam

コンテクストとコンセプト ハノイ旧市街の中心部に位置する75 Hàng Bồの建物は、かつて「レ・クオン印刷所(Imprimerie Lê Cường)」として、1930年代には芸術家や知識人が集う場であった。その後、一部は美術・文化製品株式会社(Công ty Cổ phần Mỹ thuật và Vật phẩm Văn hóa)のオフィスとして使用されてきた。 このような「知の発信拠点」としての歴史を継承し、2023年、同社は自社所有空間を現代アートセンターへと再生した。この施設は、創造的活動やコミュニティの交流を促す場であると同時に、ワークスペースを兼ね備えた複合施設(Area 75 - Art & Auction Center)として機能している。 さらに、ハノイ旧市街における空間の記憶を振り返ると、かつての新聞閲覧所や公共の水場、井戸といった場所は、「情報」と「社会的つながり」のための“島(Island)”として存在してきた。人々はそこへ足を運び、身体的にその場に居ることで価値を得て、それを持ち帰っていた。 Area 75 - Art & Auction Centerもまた、この文脈における文化的な“島”として位置づけられる。大衆的な文化プロダクトから、現代的かつアカデミックな芸術イベントに至るまで、さまざまな形で芸術を地域社会へと広げていくことを目指している。 空間構成 この文化的“島”へと至るために、設計は既存建物の条件を活かし、旧市街特有の幅約1m、奥行き約60mにおよぶ細長い「ngõ(路地)」を通り抜ける歩行体験を構築している。 この路地において最も豊かな“素材”は、旧市街の日常そのものである。カフェ、手工芸の露店、レコードの展示、残された中庭、そして住民の生活の気配──それらがかつての印刷所の空間や、その後の改修の痕跡と重なり合いながら、ひとつのフレームの中に凝縮されている。 この線的な動線は単なる通路ではなく、歴史の層と現在の都市生態の複雑さを読み解く装置として機能する。 その体験の終端で、空間は突然ひらけ、10m×10m、3層吹き抜けの「ホワイトボックス」へと至る。このボリュームは可変的な多目的空間(ボールルーム)として用いられ、先行する細長い路地との強い対比を生み出している。 空間の核には、屋上から1階の展示空間へと連続するアトリウムが設けられている。この構成により、狭く暗くなりがちな旧市街の内部空間に対し、空間的な広がりと自然光をもたらしている。 このボリュームは敷地いっぱいに建てられ(建蔽率100%)、内部空間は敷地境界まで拡張されることで、外部の物理的環境と直接的な関係を持つ。意図的に切り取られた開口部を通じて、都市との距離は縮められる。内部からは、剥がれた外壁、樹木の根、隣人の生活のリズムなどが、適度な距離感の中で観察される。 周囲のコンテクストそのものが、恒常的な展示空間として取り込まれているのである。 ---- 現在、この場所では継続的に芸術および創造的な活動が展開されており、地域社会へと文化と芸術を広げている。 Area 75 - Art & Auction Centerは、今なお“島”としての役割を保ち続けている。人々が自ら足を運び、空間と記憶を身体的に体験することで、精神的な価値を獲得する場所として存在している。

物件所在地

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