




無意識と気配 宮崎市宮崎駅前に新しくできた大規模商業施設に入るレストラン、カフェである。 施設内の7Fの屋上中庭に面しており、他のテナントとは離れたところに位置している。 7Fへのアクセス途中には商業施設の雑多な情報に接するが、7Fで中庭を通る(雨の日は中庭で傘を挿すことになる)ため、意識を徐々にリセットし、快適な飲食体験への移行が可能になることを目指した。 クライアントは畜産資料の販売を行う鹿児島県鹿屋市の寿商会である。 販売先の農家から自分たちの飼料を食べて育った家畜を精肉・チーズ・ジェラート等の原材料として買い戻す形で仕入れ、畜産農家との間での循環を作り出している。 また、寿商会は飼料から生産、加工、消費までを流れを持った「食のストーリー」として提案しており、このレストラン、カフェは販売した飼料がお客さんのところに行き着く最終地点となる。 設計としては、綺麗な開口部を作ることで周囲との関係性を作る、というようなことをはせず(その先には駅前の大きな広告看板しか見えず宮崎の自然豊かな景色は期待できない)、空間の気配を消すことで、内外も含めた空間が一体となった雰囲気を作ることを目指した。 料理との対話、アート作品との対話、外部庭との対話をするために、空間の気配を消す。 本来であれば商業施設の雑多な情報に囲まれた意識を持ちながらの体験であるはずが、そこがどこであるかということを意識させず、その空間に没入させること。 注意深く、そして精度を高めてノイズを一つ一つ整理し丁寧に処理していくと、どこか別の場所にいる感覚になる。

