House & Office SH

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    植村崇史
  • 設計
    1-1Architects
  • 担当者
    神谷勇机 / 後藤唯
  • 施工
    株式会社 平田建築
  • 構造設計
    小松宏年構造設計事務所

都市の資源 愛知県名古屋市で50年続く工務店の新事務所兼住宅の計画。施主は敷地付近に2つの大きな倉庫を所有しており、どちらも使われないままの木材で溢れかえっていた。そのほとんどは大工である先代による束での木材発注に起因する余り材、あるいは解体時に引き取った中古材であり、使用の目処が立っていないが、捨てるに捨てられずに年々溜まっていったものである。日本国内の工務店や材木屋は、少なからずこのような倉庫に眠る在庫木材を抱えている。 それらは、その不均一さや樹種の不明確さから、大断面を持ちながらも気軽に構造材に使用することができず、引割って仕上げ材などに用いる程度にとどまってしまう。しかし、電化製品からレアメタルを取り出すように、使われていない都市の資源に価値を見出す使い方ができれば、新しい循環が生まれるのではないかと考えた。 閉ざされた町並み 敷地周辺は昔ながらの町並みが残り、比較的低層の建物が密集している。その中には1階に店舗や事務所などの商工の機能、2階以上に住機能をもつ構成が多く見られるが、大きなショッピングモールの台頭などによりそれらは廃業に追い込まれてきた。そのため、2階などに居住しているにも関わらず、まちに面するグランドレベルでは、いたるところでシャッターが閉まっている。長年この地に暮らす施主家族はこれを残念がり、町づくりの重責を担う工務店として、開かれた町並みの形成を目指すステートメントとしての建築をつくりたいと希望していた。1階に商工、2階に住とする場合(断面分断)、あるいは道路際に商工が面し、奥に住がある場合(平面分断)には、まちとの接点としての商工が潰れると、建物が空間として町と係わることが難しくなる。本計画では、建物内における商工住の明確な線引きをなくし、商工および住の空間が分断することなく、それぞれ町に対して接続しながらも距離感を調整できるようなあり方を目指した。 在庫木材を利用した建築を町に開く構法 在庫木材を合理的に活用する手法と、商業や工業、住宅が混在する町にふさわしい建ち方と空間構成を提案する。具体的には、在庫木材を保存された長さ形を極力残したままで、ブレースの役割を果たす斜材として使用する。これらにより必要な構造耐力を満たすことで、極力短辺方向に極力不透明な構造壁を出さず、前面道路から透明度の高い内部空間となりながらも緩やかに商と住の空間を分節していく。保存されていた在庫木材の寸法を定数として扱い、変数的に階高や平面寸法を調整するように設計していった。部材ごとに角度が全て異なるため3D上での座標をもとに、取り付け金物を特注で製作している。在庫木材の微妙な反りなどを吸収するため、手加工にて最終調整を行いながら、取り付けを行っている。

4