esyo

ビルディングタイプ
レストラン
2
72
日本 鹿児島県

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Hiroki Isohata
  • 設計
    sail
  • 担当者
    中村圭吾
  • 施工
    Tajiken

■はじまり 7月7日の七夕、一通のメールが届いたことから、esyoのオーナー古川さんご夫婦とのレストランづくりが始まりました。 最初のヒアリングで手渡されたコンセプトシートには、料理への想いだけでなく、店名の由来、席数、テーブルと椅子の構成、そして「おもてなし」への考え方までが丁寧に綴られていました。その内容から、料理だけでなく空間を含めた体験全体の輪郭がすでに描かれていることが伝わってきました。 ■「相性(えしょ)」という言葉を、空間の編集軸として 古川さんのコンセプトシートには、次のように記されていました。 「屋号である esyo(えしょ)は、鹿児島の方言で『相性』を意味します。鹿児島の食材や文化の掛け合わせ。食材同士の相性、一皿とドリンクの相性、そして訪れた一人ひとりがテーブルの上で見つけ出す、それぞれの相性。」 この言葉を料理だけに留めるのではなく、プランニング、ディテール、素材、色彩、動線といった空間を構成する要素全体をつなぐ編集軸として扱うことを考えながら設計を進めました。 ■プランニングとディテールにおける相性 esyoの空間は、一筆書きのような曲線壁によって構成されています。曲線は個室やアートの背景を生み出しながら視線を緩やかに制御し、来店者を奥へと導きます。その流れの中で、南九州の風土を想起させる壁や家具がテーブルへとつながっていきます。 また、スタッフが頻繁に行き来する動線にはカーペットを敷設し、足音を和らげることで、料理に向き合う静かな環境を整えました。これもまた、空間における「相性」のひとつとして考えています。 ■素材は「四季」と「歳月」を考えながら エントランスには薪を配し、その背景の茶色い壁は、稲刈りや草払いを終えた秋の風景を想起させます。乾いた地面のような質感を持つシラス塗り壁は冬を、前室は春の新緑を、そして奥へ進むにつれて厨房のグリルの炎へとつながる夏を表現しています。空間は、季節をなぞるように奥へと展開していきます。 ドアハンドルに巻いたペーパーコードと、エントランスで薪を受けるココヤシの壁材は、どちらも火種の原料となる素材です。火が起こり、薪が燃え、鹿児島の活火山が生んだシラス大地の塗り壁へとつながる。それが長い時間を経て凝灰岩となった加治木石へと姿を変え、さらに厨房のグリルの炎へと連続していきます。素材同士の関係性にも、小さな物語を織り込みました。 ■森と海を想起させるオブジェクト エントランスに積まれた角材の台は、ベンチであり、コートを脱ぐ際の荷物置きでもあります。使用した木材は、伊勢神宮の式年遷宮に関わる裏木曽の山で育った檜材です。長い時間をかけて受け継がれてきた素材に、esyoが永く愛され続ける場所になってほしいという願いを重ねました。 また、湾を抱える鹿児島は海との距離が近い土地です。潮風にさらされながら時間とともに表情を深める鉄の素材感を取り入れることで、この土地ならではの風土や時間の蓄積を空間に反映しています。 ■最後に esyoは、料理・空間・人・土地が出会い、それぞれの相性を見つけていくためのレストランです。 プランニング、素材、ディテール、そして体験までをひとつの物語として編集すること。その中心に据えた概念が、店名の由来でもある「相性(えしょ)」でした。

物件所在地

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