




補足資料



クライアントが起業後、最初に借りた場所であり「原点」として借り続けていた小さな雑居ビルの3Fをリノベーションした。飲食業を始めたい人が実験したり、遊びや趣味の延長で知人を招いたり、遠方のお店が出張営業として間借りできるキッチン付きの「レンタル喫茶スペース」である。 真紅のビロードカーテンは、都会の喧騒を忘れさせるシェルターのような役割を担う。古材をリメイクしたロングテーブルは、見知らぬ人々をひとつの食卓へと引き寄せる。 厨房の壁から天井は、銅板約300枚で構成されている。本来は屋根を葺くための伝統的な工法である菱葺きを採用した。茶室や演劇的なアプローチから着想しており、人と人との偶然の出会いや会話の時間を「舞台」のように演出する。 忘れ去られたようなビルの中で、重層的な時間は訪れた人の記憶と交わりながら、新たな始まりを受け入れる「場所の記憶」として積み重なっていく。

