i villa / 軽井沢の別荘

ビルディングタイプ
別荘

DATA

CREDIT

  • 撮影
    Hiro Shoji / 荘司紘
  • 設計
    ATTRACTA inc. / 荘司建築設計室
  • 担当者
    Hiro Shoji / 荘司紘
  • 施工
    株式会社新津組
  • 構造設計
    構造設計工房デルタ

森林と広大なゴルフ場に隣接する別荘地に建つ、4ベッドルームと大空間LDKを2階に持つ別荘。建物全体はピロティ状に持ち上げられ、地面からひとつ離れた高さに生活の中心が置かれている。 近景には森、遠景には山並みが広がる比較的開かれた環境のなか、軽井沢特有の湿気・積雪・軟弱地盤への対応を前提としつつ、自然を風景として享受しながらも安定した快適性のなかで暮らしたい、という要望から計画は始まった。 -配置と構成- 自然と直接触れ合うのではなく、生活空間を2階へ持ち上げることで、地面からの湿気や虫の影響を抑え、視線を森や遠景へと大きく開く方針をとった。自然とは適切な距離を保ちながら借景として取り込むことが、この建築の基本姿勢である。1階はエントランスと車庫のみを収めた最小限の基壇とし、2階ボリュームを全周に張り出させ、大きな軒をもつ屋根を架けるシンプルな構成とした。グランドレベルには、張り出した2階と屋根に守られた気積の大きな半屋外空間が広がる。庭の植栽と建築のあいだにはデッキと洗い出しの土間を設け、開放的でありながら居場所となりやすい外部空間を形成した。 -構造と外皮- 構造はRC造ラーメン構造をベースとし、高強度コンクリートによる大きな張り出し床を全周に設けた。逆梁によって天井高さを最大限確保し、床から天井までの大開口ガラスとALCパネルによるカーテンウォールを構成している。リビング・ダイニング、4つの寝室、浴室を構造に遮られることなく外周部に配置することで、生活の各場面が常に周囲の自然へ開かれる。建築全体が風景のなかに浮かんでいるような印象を意図した。 -LDK- 西側に面するリビング・ダイニング・キッチンは、「ひとつの大きな空間のなかに多様な居場所をつくること」を主題としている。 外周に沿って連続するLDKの上部には、大きさと高さの異なる木天井を重なるように配置し、領域を緩やかに横断する構成とした。これらの木天井は空間にリズムを生み、居場所のきっかけをつくるとともに、四周に設けた間接照明によってグレアの少ない落ち着いた光環境を実現している。また、空調の吹出・吸込口を隠しながら効率的に配置する役割も担い、空間のノイズを抑えつつ高い快適性に寄与している。6連の大開口窓からは、紅葉・積雪・新緑など、季節ごとに移ろう軽井沢の風景を遮ることなく享受できる。 大空間を成立させるために中央付近に配置した構造柱は、障害物としてではなく居場所のきっかけとなる要素として計画した。柱に寄り添うフロアソファを設けるとともに、LDを緩やかに仕切る可動カーテンの引きしろとしても機能し、空間の多様な使い方を支えている。 -廊下と各室- リビングと各寝室のあいだを結ぶ南北方向の廊下は、両端を高さ3.3mのフルハイトガラスとし、時間帯を問わず光と風を取り込める。床仕上げには寝室と同じフローリングを連続させ、空間と体験の一体感を高めた。 LDから各居室へのドアは壁仕上げと同化させ、雁行させて奥まった位置に配置することで存在感を抑えた。視線がギャラリーのような静けさのなかで自然と外部の風景へ向かうよう計画している。 -内装・仕上げ- 内部仕上げは、大判タイル、光沢のある左官調塗装、真鍮目地を組み合わせた木質パネルなどを主とした。大きな壁面に変化を与えながらも過度に主張させず、色調と仕上げのスケール感を綿密にコントロールすることで空間の落ち着きを保っている。複数設けたトイレ・洗面・浴室・シャワー室では場所ごとにタイルを使い分け、それぞれに個性を与えながら長く使っても飽きのこない空間としている。 計画全体を通して、別荘としての品と個性を作りつつ、自然を借景に静かな空気をまとう空間を目指した。存在感を消すのではなく、使い心地や風景の楽しみ方といった別荘本来の価値の最大化に丁寧に向き合うことで、この建築は立ちあらわれた。

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