




補足資料

PROJECT MEMBER
清澄白河駅から徒歩1分、車の入れない路地裏に、築60年超の文化住宅がある。 伝統的な木造住宅でも、保存すべき意匠を持つ建物でもない。 この建物に建築的な価値はなく、だからこそ操作の自由があった。 既存の間取りを完全に無視して、3つの箱を躯体の中に押し込んだ。 柱間寸法も、開口の位置も、床の構成も——既存の何物にも箱は従わない。 箱はそれぞれひとつの機能だけを持つ。浴室、ベッド、キッチン。 押し込まれた箱は、かつての玄関開口を内側から塞ぎ、かつての階段を途中で途切れさせ、 剥き出しになった梁の上にどしんと置かれた。 新たな入口は隣の壁を壊して生まれ、途切れた階段は箱の中で新たに繋がれ、 梁の上の箱は、柔らかな素材で包まれた、それ自体が巨大なベッドとなった。 浴室とキッチンの箱は、床から天井まで赤いレンガタイルで覆われている。 この建物が建てられた1960年代、レンガはモダニズム建築の外壁として象徴される素材である。 時代が憧れた素材は、時代に忘れられた建物の中で、押し込まれている。
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