
古くからある閑静な分譲地に建つ家。 周囲は住宅に囲まれており、いかにプライバシーを保ちながら、 開放的な空間を創ることができるかが今回のプロジェクトのコンセプト。 クライアントは自宅で仕事することが多く、住居件仕事場になる建物である。 そこでプライバシーのためファサードにはほぼ窓は設けず、 中庭を造りプライベート空間を確保し、周りから見えることなく採光を確保。 そこに雨水を利用した水盤を設け、日中は太陽光が水面を照らし光の揺らぎが天井に映しされる。 夜はその水盤にライトをあて水面を照らし特別な空間演出している。外の出なくても自然や四季を感じ取れる家とした。 この水盤の水は、 この水は災害時の非常用水や、植物の水やりにも活用できるようになっており、地震が多い我が国では必要な設備と言える。ただ水をためる装置だけでなく普段は目でも楽しめる水盤とした。 玄関から各エリアにつながる廊下は、廊下としてだけの機能ととらえるのではなく、各エリアの一部として考え、ふんだんに採光が採れる場所とした。各エリアは建具なので仕切るのではなく、垂れ壁や床の高さ、素材で視覚的にエリアを分けている。このことにより各エリアの目に見えない自然なエリア分けを可能としている。各エリアを結ぶ廊下の壁は、通常下地材として使われる針葉樹合板を使用。針葉樹合板の美しい木目をデザインとした。材料や素材には生産者が与えた用途がある、しかしそれを鵜呑みにすのではなく、建築家の目線で一度フラットに材料や素材と向き合うことにより様々な可能性が生まれるのではないだろうか。( 殿村明彦 )