THE AZABU HOUSE

ビルディングタイプ
美容

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    MIYACHI OFFICE
  • 担当者
    宮地国彦
  • 施工
    株式会社ロンテック
  • 撮影
    藤井浩司 / TOREAL

エステサロンの内装計画。閉店となった某エステサロンの居抜き状態から計画はスタートした。会員制かつ招待制として運営するため、誰にでも開かれた店舗ではなく、プライバシーに配慮したシークレットな店舗となるように内装の刷新が求められた。 心を穏やかに整え、身体を健やかに保つことで、豊かさを実感する。「ウェルビーイング」という言葉に象徴されるように、心身を穏やかで健康に保つことは現代における幸福度を示す指標である。エステサロンという閉ざされた空間において、衣服を脱ぎ裸になって自らの身体をケアすることは、飾らない自分自身と向き合うことでもある。そうした場所に必要なのは、華美に飾られた装飾的な空間ではなく、静かで内省的な中にも品がある空間であるべきだと考えた。 入居するビル自体は大通りに面しており、フロアは間口が狭く奥に細長い。道路側に大きな開口部を設けた路面店としての設えは、一般的には優位な条件であるが、プライバシーに配慮した店づくりを目指す上では、逆に不利な条件となる。 そこで外部からの視線を遮るように内側に一枚の壁を立て、外界と室内を隔てるバッファーゾーンとして小さなアプローチをつくった。四角い整形な空間となったラウンジは、全体をウォールナット調の壁で覆い、均整なグリッドに分割することで、静けさと品格を感じさせる空間とした。 施術が行われる個室では同じくウォールナット調をベースに落ち着いた色調で計画し、最小限の照明を用いて柔らかく暖かい光に包まれる空間とした。ペアでの利用を想定したVIPルームは、元々あった2室を1室へと統合して大空間を確保し、サウナと水風呂を併設している。 都会の喧騒や社会でのキャリアから離れて自分の内側に潜っていき、そしてまた浮上して日常へと戻っていく。一連の流れが深い体験となるように素材や色調、照明を細かくコントロールしながら全体をデザインした。

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