RakuSuiSou / Okinawa

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 撮影
    井田 佳明
  • 設計
    Atelier Tete

住宅街の一角、約20坪の敷地に建つ建坪約12坪の狭小住宅。 この計画地には、道路から約4m低い地盤面、高さのある既存擁壁、低く架かる電線、交通量の多い前面道路、そして工事資材を置く余裕のない狭小敷地など、建築において多くの制約条件が重なっていた。 施主から求められたのは、「小さな家でも豊かに暮らせること」、そして「大人にも子供にもそれぞれの居場所があり、日々を楽しく過ごせる家」であった。 そこで、高低差という敷地の特徴を活かし、縦方向に多様な居場所を重ねていく、断面構成に重点を置いた住まいを計画した。 断面構成としては、落ち着いた少し仄暗い地下空間から、空が大きくひらけ、遠くに海をのぞむ屋上まで。それぞれの場所で異なる光や景色、居心地の良さ、用途や天候、その日の気分によって自由に使い分けられる構成としている。 敷地の南北方向には将来的にも高い建物が建ちにくいことから、主な開口部を南北面に配置した。視線が抜けることで室内に広がりをもたらすとともに、風が通り抜ける心地良い環境を生み出している。 建物の中にいながら、空模様や光の移ろいを感じながら一日を過ごせる住まいとなった。 外観は、コンクリート打放しの表面を洗い出し仕上げとし、粗い骨材が浮かび上がる表情とした。 そこに、土色にも淡いピンク色にも見える左官仕上の壁を組み合わせることで、時間や天候、光の変化によって建物の表情が豊かに移ろう外観としている。 室内は、天然木や漆喰などの自然素材を基調とし、素材の質感や色彩のバランスを丁寧に整えた。 また建設業界の人材不足、資材価格の高騰という社会状況や、今後も施主自身でメンテナンスができるように市販品での漆喰塗りの仕上げや建具の塗装、花壇や一部木製階段の製作は施主によるハーフビルドとした。 特に漆喰壁・天井は、素人ならではの塗り方によって揺らぎのある表情が生まれ、各開口部から差し込む光によって、時間とともにさまざまな陰影を映し出している。 照明計画では、天井の照明器具を必要最低限に抑え、スタンドライトや柔らかく面発光する照明器具を中心に構成した。限られた広さの中でも圧迫感を感じさせず、柔らかな陰影に包まれてゆったりと落ち着いて過ごせる光環境を目指した。 多くの制約を抱えた敷地だからこそ生まれた、縦に広がる小さな住まい。さまざまな居場所により、日々の暮らしの中で新たな発見や楽しみを育んでいく住まいとなった。

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