




葉山の小山の上に立つ別荘の計画である. 敷地は四周は崖に囲まれ,小さな小山のてっぺんをフラットに切り取ったような地形だった.周囲と崖で切り離された場所から眺める景色は,小さなパノラマのようで,ここに建てる家は,元の地形が持つ丸いお盆のような印象を継承して,円環の中庭を囲い込む形式にしたいと思った. 道路に面する南西側は,道路拡幅のため切り崩す必要があった崖の土留めとなる,くの字型のRC躯体を配置し,その上に北側に開いた片流れの屋根を掛けた. 外部空間だけでは「お盆」のスケールが小さすぎるので,中庭に面する二階空間は極力オープンに設え,地形に沿いつつ駐車場から中庭を繋ぐトンネル空間を跨ぐために設定された,床と家具の段差によって,中庭が持つ高低差を増幅して同心円状に広がる地 形のような一室空間を形作っている. そこから突き出すように,敷地東際の法肩に配置された大浴場に対して,プールと川魚を育てるため流れを作った池を,レベル差を持ちながらも直線的に並べることで,遠くの山に繋がるような立体的な水辺の風景を形作っている.北西側には中庭の高低差を使って低く抑えた四阿を配置して崖下の隣家への視線を遮りつつ眺望を確保した. 南西側の道路側は隣家との視線は遮断しつつ,くの字の根元のハイサイドライトや,壁をずらすことによって生まれたスリット窓から,遠くの眺望を取り入れつつ,道路側にも柔らかく気配が漏れ出るような開口計画としている. 敷地が持つ眺望のポテンシャルを,最大限活かす円環の計画である.
