




PROJECT MEMBER
鹿児島市に計画した宿泊施設「GOOD FELLOWS RESORT room U」である。 旅先で過ごす一夜は、単に滞在するための時間ではなく、その土地を記憶として持ち帰る体験であると考えた。本計画では、「見たことのない部屋」という要望に対し、形の新しさを追求するのではなく、鹿児島という土地の風景や素材、文化を空間化することを試みた。 最も象徴的な要素である曲線天井は、窓越しに望む桜島の稜線を室内へ引き込むように造形している。仕上げには鹿児島県産の竹を用い、一本ごとに異なる表情を受け止めながら、自然が持つ揺らぎを空間に重ねた。 洗面室と浴室には桜島溶岩を削り出したタイルを採用し、厚みや寸法に変化を与えることで、陰影そのものが素材の表情となる壁面を構成した。土地が育んだ素材に触れることは、その風土や時間に触れることでもある。 建築は地域性を記号として表現するものではない。その土地にしかない風景や素材、人の営みを丁寧に読み解き、空間として再編集することで、宿泊という短い時間の中にも、この場所でしか得られない体験を生み出そうとした。
