




補足資料








PROJECT MEMBER
100 WINDOWSは、親世代と息子世代二組が同じ建物を共有する、二世代・三世帯のための住宅である。敷地はハノイ郊外の川沿いに位置し、かつて農村だったこの地域は、現在では宅地と貸し工場が混在する小さな町へと変わりつつある。都市とも田舎とも言い切れない過渡的なこの状況は、今後数十年にわたってさらに大きく変容することが予想される。不確かな周辺環境を長期的な設計条件として受け入れ、周囲との間に意図的な距離を置くことが、この建物の基本的な姿勢となっている。 郊外においては、密集した市街地とは異なり、建物と周辺環境の関係は固定されていない。周囲との関係の濃淡を状況に応じて調整できる空間構成が、このような場所では求められる。この住宅では、上層階を包む「曖昧なダブルスキン」がその役割を担っている。この外皮は断面によって構成を変え、独立した二重壁として立ち上がる部分もあれば、収納などの機能を組み込んだ厚みのある壁として現れる部分もある。こうした二層の外皮は、ハノイの高温多湿な気候において、直射熱を遮る熱的バッファーとしても機能する。 この二重の外皮には、大小さまざまな開口部が不規則に穿たれている。奥行きと向きの異なる開口部が各面に分散しているため、周囲の環境が変化しても、そのいずれかが光・風・眺望を室内に届け続ける。特定の開口部に依存しないこの構成が、建物に変化への耐性を与えている。外皮の厚みを活かした奥行きのある開口部は、日々の天候や周囲の状況に応じて、また年月とともに移りゆく暮らしに合わせて、開け放たれたり閉ざされたりしながら使われ続ける。開口部の不規則な配置はまた、外部から内部の構成を読み取りにくくしている。遠景からも目立つこの建物において、住人のプライバシーはこの読み取りにくさによって守られている。 上層階では、各世帯の寝室群と複数の共有スペースがダブルスキンの内側に収められ、周囲の環境から適切な距離を保っている。各フロアの動線は行き止まりのない回遊型とし、将来の家族構成の変化にも対応できる柔軟性を持たせている。床には柔らかな肌触りを持つ圧縮竹材を、天井には打ち放しコンクリートを用い、いずれも高温多湿の気候下で長期の使用に耐える素材を選んでいる。外壁はテラコッタ色のスタッコで覆われており、その色調は周辺に建ち並ぶ住宅の赤瓦屋根と呼応している。 地上階は、時に大勢のゲストを迎えるパブリックな性格を持つ空間である。上層階が変化する周辺環境と向き合うのに対し、地上階は塀に囲まれた庭へと開かれている。最小限の壁による開放的な構成となっており、大型の引き戸を全開にすることで室内と庭が一続きになる。内外の床は連続したベトナム産玄武岩で仕上げ、境界に立つ壁を覆う暗色のコンクリート洗い出しが、その輪郭を和らげている。変わりゆく周辺環境の中にあって、地上階は塀の内側に静けさを保っている。

