
創業以来、吉祥寺を拠点に活動を続けるカスタマイズウォッチメーカーのKnot。 今回、大通り沿いにあったオフィスを、より吉祥寺らしい風景をもつ路地裏に移転することとなった。 路地を歩き訪れた計画地は、何処にでもあるような特徴のないテナント区画でした。 そこで街の特徴である路地のような場所性を取り込みたいと考えた。 まず路地の構成を踏襲したグリッド状の補助線を区画に引き、 施主の要望が成立する位置に壁を設けた。 これにより質の異なる空間が複数できるが、回遊性を確保してるので、全体はシームレスに繋がっている。 各所には特定の用途を与えず、その日の気分や仕事の内容で場所を選択できるようにしている。 そのため社員と訪問者の区切りもなく、自然と交わる事となる。 また室内という限られた場所では、素材によって空間の質や用途が決まってしまう可能性があるため、空間はベージュで統一し、可変性を持たせている。 素材で路地を表現するのではなく、不意に視線が抜けたり、人と会って偶発的な会話が生まれるなど、路地で起きる体験を取り込もうと試みた。 吉祥寺に拘りを持つ企業にあって、街に居る事を意識できるオフィス空間を目指した。
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