
事業者は町田市、指定管理者が運営する公設民営の施設。 当施設が存する薬師池公園四季彩の杜エリアには、草花や小動物に各々で特化したコンテンツを有した公園が多数立地しており、市内外から毎年70万人ものたくさんの人々が季節折々の風景を嗜みに来訪している。複数の公園等で成る薬師池公園四季彩の杜エリアの核となる複合施設を整備し、認知度とエリア内の回遊性を向上させる事が目的であった。 エリアを1つの公園と見なすブランディングにより、施設の役割づけから計画している。 丘陵地特有の斜面地に対して、分棟配置とすることで、大掛かりな造成を避け、建物と道を敷地に馴染ませ、回遊性を生み、それぞれの場所に合った体験の提供を目指した。 建築計画では、分棟とすることで集落感のような一体感を感じ、建物越しの緑や建物が重なって見えることで日本的な空間特性の奥性を感じたり、回遊する楽しみを提供できると考えた。 建築単体では、1棟で完結せず、何棟かあることの相対的な建築の関係性を大事に考え、また時間軸で考えた時にも同じ公園内にも展開できるように再現(ブランド表現)しやすい切妻の黒い杉板の外壁とした。 ヒューマンスケールの建築と少し大きいスケールの建築を組み合わせることでブランドの機能に合ったそれぞれの体験を提供出来ると考えた。威圧感のないスケールで敷地全体に建物が散らばることで、様々な居場所ができ、その場所から見上げたり、見下ろしたり、いろいろな視覚体験もでき、全体のランドスケープと合わせて、歩く楽しみのある計画となった。 また、ランドスケープ計画では、かつて地域に広がっていた雑木林の再生を掲げ約1万本の苗木や草木を植樹している。間伐材や落ち葉は隣地の農園で利用される事となっている。雑木林の育成から管理まで、人の手が加わり続け、緩やかに変化し続ける風景となる。回遊路は、丘陵地や周囲の眺望や雑木林の成長を感じる事ができるよう、手摺の無い緩勾配の小路とし約20mの高低差を行き来できる。