
福岡県野間の四つ角にて約40年間に渡り小さな食堂を営まれたオーナー一家による、満を持して計画された2号店となる約10坪のスナックである。顧客に若い世代を取り込むためのカジュアルさと、程よい隠れ家感、ありふれたおしゃれな大衆酒場とは一線を画したデザインということを求められた。少ない種類のお酒と乾きもののおつまみを提供し、あとはカラオケがついているだけという非常にシンプルなお店だが、内装についてはこのスナックという「人」にフォーカスした業態において、どれだけ店主と客とが心地よくコミュニケーションがとれる空間とするかということと、飾りすぎないスナックらしさが出せるかが課題であった。店主が中心に立ちどのお客とも目線を合わせた会話ができるようU字カウンターを構え、天板にはエポキシ樹脂塗料を固めたもの使用した。カウンター上部の天井には磨き加工を施した銅板を貼り、壁の一部にはレザークラフトの端切れを染色し、一枚一枚丁寧に貼り合わせたものを使用している。シンプルながらも程よく寂びれ、年代を問わずに地域に親しまれる新しいスナック感を模索した。