
スペイン人オーナーと日本人シェフによる共同経営のTAMESU CORPORATIONより、バレンシア市内に新しい寿司店をオープンしたいと依頼を頂き、プロジェクトはスタートした。 バレンシアにオープンした寿司バー"KAIDO"。空間上部には、小林デザインの木製パネルの光の揺らめきを感じるスクリーンのオブジェがレイアウトされている。この2020年9月にオープンした寿司バーの店名である"KAIDO"は、日本語で海の道を意味する日本語で、バレンシアの自然環境ともリンクする名前でもあった。 弊社はバレンシアを拠点に活動しており、実際にバレンシアで過ごして感じ取った環境をオブジェに置き換えたいと考えた。バレンシアは一年のうち約300日ほど太陽の日差しを感じられ、その日光が海面に降り注ぎ揺らめく様、海の中から海面を覗くと海面の揺らめきによって、太陽の光が拡散して無数の光が海中に注ぎ込まれる。そんな情緒的な空間を目指した。 実際に仕上がった空間は、木とバレンシア産の黒いタイルで構成されたミニマルな空間だが、エントランスからカウンター席まで足を運ぶと、上記のコンセプトを表現する木製のオブジェに包まれた空間が現れ、そのコントラストが日差しを表現している。 利用客からは、入り口からの動線とその先にある客室とのコントラストに反応もよく、料理の質の高さもあり、オープン直後から数ヶ月先まで常に予約が埋まっている。 木製オブジェは、バレンシアの照明メーカーであるLZFが製造協力をしている。小林は、KAIDOのオーナーのULISESと共にLZFを尋ね、LZFがコンセプトに賛同し、制作を担当した。小林が作りたかったオブジェのイメージとLZFがプロダクトに用いるオリジナルの木製シートとリンクしたの協業した理由の一つだ。 その後、LZFはこのオブジェを自社の商品として発表もすることを決定した。名前は海道のコンセプトの通り"SUNS"と小林が命名した。