3L

ビルディングタイプ
オフィスインテリア

DATA

CREDIT

  • 設計
    田中裕之建築設計事務所
  • 担当者
    田中裕之、花塚紘紀、服部あやの、藤城太一
  • 施工
    株式会社 シミズ・ビルライフケア
  • 撮影
    長谷川健太

株式会社リコーの実践型研究所「3L」である。 新規プロジェクトなど新しい取り組みにリコー社員が没頭でき、社内外のコラボレーションを促進できる雰囲気を持った空間が求められた。 創業の地でもある東京都大田区大森にはリコー本社があり、現在はリコー創業者市村清の財団として管理されている創業者の邸宅も隣接してあるなど、古くからリコーはこの地域からスタートしてグローバル企業として飛躍をしていったと言える。 ◯建築について 内部化された、反転した立面。 もともと48条ただし書を受けた建物であり、住宅地に建っている。 そのためにリノベーションをした新しい建物として、劇的に変化したという外観を持つことはせず、住宅地ということを踏まえた外構や植栽の充実と、新しい内部プランに対応するような開口部プロポーションの整理、アプローチの変更に伴うエントランスの変更をするにとどめ、慎ましやかさや控えめな佇まいを残したものにすることを目指した。 一方、建物内部での活動を支える空間については、社員が自由に、そして活発に活動できることを目指した。 さらにいうと、個々の活動が活発になるだけでなく、それらが連続して社員間で繋がっていき、拡がっていくということの重要性がコンペ段階から指摘されていた。 既存建物の特徴として、体育館(以下、BOX)として使われている大きな空間があることもあり、上記の重要性に対する回答として、まずここに活動が一望できる新たな内部化した立面を作ることを提案した。そのことによって別棟のBOX側立面に個室のプロジェクトルームを配置し、そこでの活動がBOXから一望できるようになった。 反対側の立面は擁壁となっており、かつてはスタートアップ企業であったリコーの「創業の伊吹が感じられるような」というクライアントのオーダーによって描かれた大きな壁画を用意した。BOXに立つと擁壁側には大きな壁画、反対側立面には現在進行中のプロジェクトルームがあり2つの大きな面に挟み込まれるようになる。 BOXにはさらに大階段を用意しこれらをいろいろな角度から見ることもできるようになった。不定形な人工的起伏もあるためキャンプのように自分で場所を見つけてもらうような意図を持って計画した。普段は用途に合わせたミーティングに使え、またピッチイベントやワークショップも可能になることにより日中の稼働率を上げることを目指した。 もう一つの棟にはテクノロジーチームが実験などを行う「PRISM」や先述のプロジェクトルーム、モックアップ作ることのできるlabや、バーなどがあり、BOX含めて回遊性を持たせている。BOXの垂直性と比較し、水平面的な展開を加えて単なる社員間の交流だけでなく、働くこと、会うことの刷新を促す様々な仕掛けを用意し、空間的にサポートすることを目指した。

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物件所在地

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