House MA

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    STA土屋辰之助アトリエ
  • 担当者
    土屋辰之助、山﨑朋哉、王玉楊
  • 施工
    山庄建設株式会社
  • 構造設計
    STL 担当:磯邉聡
  • 撮影
    井上登

都市の構成単位としての住宅 典型的な東京の山の手である「麻布」は起伏に富んだ地形で構成されている。古川の流れによってつくられた台地と谷地、その支流により襞のように入り組んだ地形によりいくつものエリアが多様に存在している。敷地は有栖川記念公園の近く、大使館も多く、インターナショナルな雰囲気と緑豊かな自然に包まれている。 一方で、高台住宅地としてのスケール感を維持しているエリアでもあり、その双方の性質を引き受ける、町と緑に対して開放的かつ連続的な住空間を目指した。北面には村野藤吾設計でも知られる料亭敷地の石と緑の壁による借景がひろがり、一日を通して明るく心地よい採光がもたらされている。町や外部空間へ反応する建築要素を丁寧に解読し、かつおおらかなフレームでつくられるこの住宅は即時的な条件により設計される建築ではなく、長い時間のスパンにも応えることができる都市の構成単位として存在している。 また、クライアントは住宅建材・設備機器メーカーに勤務していることもあり、この住宅もそのメーカーの製品を中心に構成されている。いわゆる「既製品」を使って建築家作品をどこまで追究可能であるかも設計の重要なテーマであった。 新建材と住宅建築の歴史は日本の住宅を語る上で欠かせない。特に戦後、東京オリンピックを契機に発展を遂げたユニット製品、工業製品としての建材は新築=大量生産のフェーズから改修=選択のフェーズへと既に変容している。 この住宅においても建材の付加価値を含めた機能、意匠や質感、施工性を評価しつつ採用可能な製品を取捨選択した。結果、かなりの部分を既製品で構成することができた。更には、メーカーの想定している標準的な納まりや簡易な施工方法の中だけで設えるのではなく、周辺の「手づくり」の部分と組み合わせることでお互いの価値を高められていると考える。 □SKY-FRAME 開放的なリビングテラスを実現するためにスイス製の大開口サッシ「SKY-FRAME」を採用した。見付20ミリのフレームと高い断熱性能、スムーズな動作は日々の生活に豊かさをもたらす存在となっている。 □鉄骨造純ラーメン構造 スタディの中では木造、RCラーメン、RC壁式なども検討にあがったが、特に2Fの開放性を重視する観点から断熱性能などに課題はあるが鉄骨造を、更に開放面が2面に偏っていることからブレースではなく純ラーメン構造を採用した。 □鉄骨造高断熱住宅 SKY−FRAMEの高断熱性能 (1.46W/(㎡.k)_EN基準)を最大限に活用するために、鉄骨造での断熱性能の確保も設計のテーマとして掲げられた。SKY-FRAME以外のサッシはビル用サッシでありながら2.33 W/(㎡.k)という断熱性能をもつ「プレセア」を採用した。

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