ESR弥富木曽岬DC KLÜBB Lounge

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所在地:三重県 設計:タカトタマガミデザイン株式会社 大型物流施設の最上階に設けられた休憩ラウンジである。 施設のある木曽岬町は、河口のデルタ地帯に位置し、見渡す限りほぼ平坦地である。そのため、このラウンジは町を望む随一の展望空間とするだけでなく、平坦地にはない起伏に富んだ空間とすることで、町の新たなランドスケープとして親しまれる場にしたいと考えた。 非日常性と安心感が共存するスケールや形態を探り、たどり着いたのは柱状節理(=岩石の柱が自然現象によって隆起した集合体)のモチーフに包み込まれた洞窟状の空間だった。 起伏は一つひとつ座り心地の違う座席群となる。自由に居場所探しを楽しめるだけでなく、高所へと登りたくなる衝動を駆り立てる。登り、振り返り、腰掛ける時には、この起伏が視線を遮ることのない眺望台であることに気づかせてくれるだろう。 柱状節理の断面は、地理学的にボロノイ図形となる。 ボロノイ図形の特徴はポリゴンの母点間の距離が境界の二等分線となることである。つまりこのラウンジの柱状体は身体的距離を「無意識に」選択する仕掛けになっている。多様なコミュニケーションが次々と生まれる新時代、そして、アフターコロナにおいて、人と人とのつながりを再構築するきっかけになればと期待している。