陽谷の家

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所在地:愛知県 設計:山口 智三 計画地は近隣商業地域であり、前面道路まで建物のマスが配置されその壁面ラインが街並みを形成している地域に位置するが、計画敷地周辺は建物が後退しており元来の街並みが崩れかけている。そこで本住宅は前面道路まで建物を配置するとともに、外周からの採光に頼らない建物とすることで元の街並みが取り戻されることを願って計画した。 東西方向に細長い建物の中央北寄りに東西に長い内外に連続した中庭・吹抜を設け、その北面に反照板を設置し、太陽光が効率的に建物内に取り込まれるように計画した。反照板を防火壁と兼用することで、中庭に面したサッシを非防火設備とし内外の一体感を増すように努めた。 また、古の日本建築の光と金屏風や金襖の関係性のように、細部(幅木、レバーハンドル、引手、目地、ブックエンド、照明、傘掛、タオル掛け、軒天、表札等)に真鍮を用いることで、反照板を介して取り込んだ太陽光をさらに反射させ、建物の奥まで明るさと彩を与えている。光との距離に合わせて真鍮の仕上げを「遠:鏡面→HL→PHL→槌目→黒斑塗装:近」とした。さらに光が美しい陰影を生むように外壁・軒天・内壁・天井共につやがなくざらつきのあるジョリパットとした。