伊熊昌治建築設計事務所|京町家のうらがえし~意味の変換をめざして|戸建て(トイレ・洗面・階段)

個室内での単独存在としての性質が強い洗面器や流しを、戸の開閉により外部の光、庭の緑と共存する景色を創出した。 明るく利用し易い水廻りは、京町家の裏的存在であった「はしり」や路地奥の「はなれ」の意味を変換し、生活領域を拡張している。それと共に、生活者の記憶に残る風景を復原・継承しつつ、静と動の新しい意味を持つ庭の自然を取り込んで、透明感のあるスペースとした。 築80年を超える間口8m奥行30mの京町家の改修工事。居住者の高齢化に伴う町家の「水廻り」の室内化、母屋と一体化した後十分に活用されなかった路地裏の「はなれ」の耐震改修、2つの裏的な場所が生活の活性化と行動領域の拡大となった。