JINSそよら東岸和田店
所在地:大阪府 設計:平居直設計スタジオ 用途:商業施設 竣工:2023年9月 工事種別:新築 採用商品:ジョリパット・メラミン化粧板 地域の風景に寄り添うアイウェア店舗 「だんじり祭り」の文化が息づき、城下町の風情を残す岸和田市におけるロードサイド店舗計画です。 敷地は大規模なオープンモール型商業施設の隅に位置し、道路を挟んで住宅街にも面しています。住宅街側では建物のフットプリントが100㎡程度であるのに対し、商業施設側ではその規模が5倍から50倍にも広がるという、対照的なスケール感を持つ立地です。この店舗では、商業エリアと住居エリアのスケールギャップを調和させ、地域に寄り添うことを目指しました。 商業施設側には大きな軒下空間を形成する伸びやかな屋根を設ける一方で、住宅街側は長い建築ヴォリュームを分割してずらし、3棟が並んだように見える構成とし、それぞれのスケールに馴染むようにしました。外部のずれは店内にそのまま現れ、売り場や待合い、バックヤードなど、用途に応じた心地よい空間の広がりを確保しています。住宅街側にはプライバシーに配慮して窓を設けていませんが、ヴォリュームがずれた部分は全面ガラスとしており、主要な交差点からは店内の様子が伺えるようなずらし方にすることで、閉じつつも開かれた見え方を意図しました。 切妻屋根を形成する登り梁は、片側の梁を諸室の壁で固定し、片持ち梁とすることで、もう片方の梁せいを小さくし、棟木も省略しています。これにより、連続する軽やかな梁がヴォリュームのずれを強調しつつも、一体の空間として感じられるように構成しました。また、ヴォリュームがずれることで短くなったスパンに応じて梁せいを小さくすることで、限られた空間に奥行きを与えることを意図しています。 地域をリサーチする中で、「だんじり祭り」の山車の車輪部分にあたる松の木からできた「コマ」は、使用のたびに摩耗するため、多くが毎年処分されていることが分かりました。一部では、処分せずに地域の人々が腰をかけるベンチや看板の重し、車止めなどとして使われている風景も見られました。この店舗でも「コマ」を待合いスペースのスツールや本棚として活用し、地域の風景に馴染んでいくことを目指しています。
