所在地:熊本県 設計:阿部悠子設計アトリエ 用途:公共施設 竣工:2025年3月 工事種別:新築 採用商品:ジョリパットアルファ 甲佐町起業等応援施設 2025 熊本県甲佐町の商店街の中に計画した起業支援拠点である。働く場であると同時に、地域に開かれた「まちの公園」のような存在となることを目指した。 かつて暮らしの中心であった商店街は、多くの地方都市と同様に衰退が進んでいたが、熊本地震以降、地元出身者のUターンやNIPPONIA甲佐の開業を契機に再生の兆しが生まれている。本計画はその流れの延長上に位置づけられる。 甲佐町が実施した公募型プロポーザルにより選定されたが、条件として「プレハブやユニットハウスを活用し、短期間で整備すること」が求められた。設計から竣工までわずか8か月。限られた構法と工期の中、いかに商店街の風景にふさわしい建築へと昇華できるかが出発点となった。 甲佐町の恵まれた自然環境を活かすため、一般的なオフィスのように内部機能を充実させるのではなく、建物を最小限の「基地」と捉え、活動が外へと広がる構成とした。芝生広場や軒下空間、疎水を望むベンチやテラスなど、人が自然にまちと関われる「かかわり代」を敷地全体に配置し、企業だけでなく地域住民も日常の延長として利用できる公共的な場を構想している。 大屋根と芝生広場という共用の余白は、時間とともにまちの営みを受け止め、風景と人々の関係を編み直していくためのフレームである。