定納山の家

ビルディングタイプ
戸建住宅
18
1,452
日本 愛知県

DATA

CREDIT

  • 設計
    野村亮介建築設計事務所
  • 担当者
    野村亮介
  • 施工
    ㈱和工務店
  • 撮影
    植村崇史
  • 造園工事
    株式会社it
  • 家具工事
    lokke
  • 建具工事
    IKEMOKU

敷地は愛知県名古屋市緑区定納山の新興住宅地の一画。 定納山という小高い山の造成により生まれた段上の地形、道路と宅地部分に設けられた高低差、第1種低層住居専用地域の法規制による建蔽率40%、容積率80%、北側斜線、外壁後退1.0Mといった与条件が地域固有の建物形状や敷地の空隙に寄与し街並みに一定の規律を与えている。一見均質に見えるその街の風景も、法規制と環境が織りなす固有の細かいコンテクストの集積によってかたちづくられている。 本計画はこうした与条件によって導かれる外殻の中に、街並みが内包する暗黙の規律を、住宅の構成原理の軸組みとしての「骨格」の規律性に静かに写し取ることで、まちと呼応しながら内側にもそのリズムを宿すような空間を思考した。 法規制から敷地には間口4間、奥行5間が取れる外殻が立ち上がり、北側斜線の兼ね合いで北側の1間は高さを抑えて計画する必要があった。そこで4間角のボリュームに1間を足す構成で軸組みを考えた。4間角には住まいにおける共有性が高い用途を落とし込み、付属する1間には水回りや収納といった閉じた空間として用いた。 4間角の構成は、住まいとして身体性に馴染みがある「2間」を基本単位とし、中心に柱を据えることで、田の字型の均整の取れた空間骨格とした。また、軸組みが持つ構造上の規律性を保持するために、あえて間仕切り壁は設けず家具や収納等のボリュームで住まいの拠り所を設えている。また、梁を表し、架構を市松状に組むことで、空間に方向性を持たせず、中心性と中立性を両立させた。これにより内向的でありながら外に開かれたフラットな場を思考した。この軸組みと架構の構成により、骨格自体が街の持つ秩序に静かに呼応しながら、生活の受け皿となる事を期待した。 それは、街が持つ雰囲気に寄り添いながら、その中に住む人の営みが優しく溶け込んでいくような、街と生活が同じリズムで続いていく住まいの在り方を目指した。

物件所在地

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