




PROJECT MEMBER
AGIRLSは和歌山に集積する丸編みニット生産工場の卓越した技術を背景に、高い品質と着心地の良さそしてデザイン性に優れた素材を提供するテキスタイルメーカーで、海外からの評価も高くそのマーケット戦略は世界を向いている。そうした国際的な展望を抱きつつ、地域に根ざし若手の育成を見据え、あえて地元の和歌山に新たな本社ビルを建設することを決意した。 敷地は200段を超える石段を一気に登る高台に立つ紀三井寺に連なる丘陵を北に辿った麓に位置し、すくそばの山裾からは紀三井寺三井水(さんせいすい)のひとつ、吉祥水が湧き出ている。 機能はオフィスとショールームとショップ。オフィスには執務空間とミーティングルームとエグゼクティブルームがあり、ショールームには国内外からのゲストを迎え製品を紹介する展示空間と過去の製品をストックするアーカイブがある。ショップは将来の事業展開に向けた「可能性の空間」である。 オフィスとショールームが立体的に結ばれたL字型平面を持つ一棟にまとめ、独立したショップ棟が繋がれて、この二つの棟が中庭を囲んで向かい合う。アプローチはこの中庭を通ってエントランスホールに向かう。エントランスドアを入ると天空から光が落ちる二層吹き抜けのホールが待ち受け、吹き抜けに面したブリッジが東の丘の緑に向かって突き出たミーティングルームと西のオフィスを結んでいる。ブリッジにはちょっとしたミーティングのためのソファやテーブルが配される。3階には屋上テラスを持つエグゼクティブルームがある。周囲に高い建物がないので遠く万葉集にも詠まれた名勝和歌浦を望むこともできる。 街角の風景を形成するショップは金属板で覆われ、コーナーに面した部分のみ紀の国らしく木の素材を用い、構造は鉄骨造である。一方オフィス/ショールーム棟はRC造で2階建てのコンクリート打放しの建物上部に白いペントハウスが乗る形とし、中庭に面した部分には一部木を用いた。さまざまな素材を組み合わせることによって、多彩なテキスタイル素材を提供する企業であることを暗示した。アーカイブは2階建ての高さに3層の床を重ねて大きな収容量を確保する工夫をし、そこにAGIRLSの過去と未来の記憶が保存されていく。
