




PROJECT MEMBER
目黒川を少し東に入ると旧朝倉家住宅の脇を通って代官山から下りてくる坂に出会う。 敷地はその交差点に面している。向かい側には新しく建設された東京音楽大学がある。そのような地形的な結節点なので、そこに発生する人の流れを取りこみながら、穏やかに開きつつ閉じる形を模索した。そして、街の起点となる建築をめざした。 現実に建築の設計をする機会に恵まれて以来ずっと、道を祝福する建築のあり方を求めて来た。道が単なる道路でなく、建築と街を結びつけ活性化する街路となれば、都市もまた祝福されることだろう。都市における建築の試みは、道を、そして街を、どのように祝福するか、である。 道が導き運んでくる力を受け止めて、景観の要とする。角地はそのための格好の場所だ。角地を道に開放しつつ景観的なアイストップを生み出す。道の力を受け止めるために少し窪んだ形の壁を置き、その前に象徴的な樹木を置く。そこを起点として、壁面を途切れさせぬように都市のファサードを連続させる。壁を穿ち、壁に守られるように通り抜け可能な空地を設け、例えばそこはカフェのテラスとなり、あるいは道にも空にも抜けた小さな広場となる。 上階はオフィスである。アプローチは別にとって、そこに空に向かって昇っていくような螺旋状の階段を設けた。外部階段だが、決して開放されすぎず、しかも閉鎖的でない、空に向かって晴れやかな気持ちでアプローチしていける階段である。 壁と開口と吹き抜けと階段、それらが相まって、やや奥行きと幅のある、立体的な都市のファサードが生み出せたのではないかと考えている。
