




補足資料


PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- 幼稚園・認定子ども園・保育所
- 構造
- 鉄骨造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 1146.63㎡
- 竣工
- 2026-02
CREDIT
- 撮影
- 淺川 敏
- 設計
- 設計組織アモルフ
- 担当者
- 竹山聖 / 丸毛遼
- 施工
- 清水建設名古屋支店
- 構造設計
- O構造設計
- 設備設計
- 中央テクノ
立体的な庭をつくる 名古屋の八事の交差点のほど近く、すぐ向かいに堀口捨巳の手がけた八勝館の緑を望む敷地である。北側の道路から緩やかに南に登っていく高台への道のその角地に位置しており、景勝の地で知られているだけあって、屋上からは名古屋近郊の街や丘陵はもちろんのこと中心市街地の彼方の伊吹山まで望むことができる。 敷地の広さが限られているので、各々の階が個性的な表情を持って積み上がるように立体的に構成されている。具体的には1階にエントランス、事務室、厨房などの共用部分を配し、2階に0〜2歳児、3階に3〜5歳児の保育室、4階に遊戯室、そして屋上には起伏を持つ人工芝の庭と砂場を置いた。2階と3階の保育室は屋外のテラスを持ち、それらがやはり人工芝の斜面で結ばれていて、子どもたちはそこを登ったり降りたりして遊ぶことができる。2~4、屋上階という子どもたちの世界全体がこのように屋外の遊び場や、空から光の降り注ぐ不整形な階段室で結ばれていて、さながら立体的な庭のようだ。 上階の遊戯室には階段状の客席があり、昇っていくとその先に八勝館の緑が望めるように形と方向を定めた。この宙に浮いたような特徴的な遊戯室の形態は、最初のプレゼンテーションにおいて提案した中でとりわけオーナーが気に入ってくれた案である。キリスト教系の保育園であるため「ノアの方舟」であると見立てられたところから、大洪水がおさまって山の上に止まった方舟をイメージした。そして岩山のような基壇に船が不時着したような形へと導かれた。西側の壁面に大きく描かれた鳩は、方舟にオリーブを咥えて戻ってきた鳩の物語を重ねていて、ビジュア ルアーティストのeri2win(えりつぃん)に足場にのぼり絵筆を取って直に描いていただいたものだ。 これまで概念的なストーリーをたてたりしたことはあったが、具体的な物語をこめることはあまりしてこなかった。抽象度の高い建築空間を好んできたということもある。ただ、子どもたちの施設であり、親しまれ愛される建築となるために、より分かりやすいメタフォアや物語の重ね合わせを試みるのも面白いのではないかと考えた。形の扱いだけでなく、素材の選択や色彩の組み合わせにも、暖かさや柔らかさをふんだんに取り入れることにした。これまでの硬質なサウンドに、少しポピュラーなテイストが加味されたかもしれない。驚きと喜びをもたらす建築を生み出していきたいとずっと考えてきたけれど、とりわけ今回は親しみや楽しさを感じられるような空間になったのではないかと思う。さまざまなスケールの空間を子どもたちが秘密基地を探索するように楽しんでくれるさまが思い浮かぶが、何より園長をはじめ保育園の先生方が心から喜んでくださっている様子を見て、未来の世代のための学びの施設を構想する醍醐味を改めて噛み締めている。
