




補足資料



DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 構造
- 木造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 119.26㎡
- 竣工
- 2026-09
CREDIT
- 撮影
- 上野拓美
- 設計
- U
- 担当者
- 上野拓美
- 施工
- 有限会社アートホーム工房
- 構造設計
- 建築食堂
60㎡の住戸を上下にふたつ重ねた重層長屋である。 敷地の南側には白川が流れ、その間に大きな堤防が横たわる。 この堤防は平成24年の白川の氾濫を受けて新たに築造され、街と川の関係は大きく変わった。間口に対して奥行きの深い「うなぎの寝床」形状で、その深いパースペクティブの先には立田山が見える。ここでは、川と山のあいだに居ることを自然と意識させられる。敷地は埋蔵文化財包蔵地にも指定されており、土器や石器の破片など、定住の痕跡が出土している。その時代から変わらない風景の骨格のなかで暮らす歓びを、いかに表現できるだろうか。 設計を進めるなかで、三つの構成上の手掛かりを見出した。 ①風景の大きな骨格をささやかに引き受ける断面操作。 山を見上げることと川を見下ろすことが断面の輪郭に表れるように天井に勾配をつけた。ふたつの勾配は2間ごとに折れ曲がり、住戸の奥行きのなかで緩やかにスケールを変えながら一本につながる。風景の大きな骨格に、生活の小さな骨格を差し込むような断面である。 ②土木的スケールの導入による関係の再構築。 堤防によって切断された住宅街と河川敷の境界を、河川敷を形成している土木的なスケールのエレメントを敷地内に引き込むことで解体しようと試みた。2階住戸へ上る外階段は、1間の柱間に納まる最大の幅とした。河川敷に見られる階段を参照したもので、堤防を含めたランドスケープの起伏のなかに生活を位置づけることを意図している。移動という単一の機能を超えて、自由な場として使われることを想定した。階段の下、1階の土間の前には、軒下のような半屋外空間ができる。 ③近年多様化する生活スタイルに応える柔軟な平面構成。 平面は間口を3間に分け、東側の2間を南北に貫通するおおらかなトンネル状のワンルームとした。西側の1間には、土間や書斎などニッチ状の小ぶりな空間を並べた。ルーズな空間とタイトな空間が隣り合う単純な構成は、変化に適応する汎用性に加えて、生活に弾みを与える。 三つの操作はそれぞれに環境や社会への率直な応答であり、単純で明快である。その重なりのなかに、風景と生活のさまざまなスケールが響き合う複層的な場を立ち上げ、この場所で生きる歓びを引き出したいと考えた。
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